【弐】
謎めいた美女ミランダをよそに一時帝都に戻った史絵。
史絵は、洵子の事件に手をつけたことを女学校時代からの親友、すみ江に伝える。
すみ江もまた、洵子の知己であり、女学校卒業後、師範学校まで共に机を並べた仲だった。
すみ江は洵子の末路を哀れみ、
それ以上に、探偵業に就いてからの史絵の変わり様に気を揉んでいた。
史絵は最愛の婚約者を亡くして以来、そうと決めた勁(つよ)い生き方を演じつづけているように、すみ江には見えた。
そんなすみ江に誘われて、史絵は女学校時代の同窓会に出席する。
史絵はそこで、洵子の妹、恵理佳が自動車の事故でどこかの病院に預けられているという話を得た。それはすみ江にも初耳の話で、洵子が友人であるすみ江にも、恵理佳の情況について伝えていなかったことには不審があった。
史絵は事件の依頼人である、洵子の兄、牧野整一氏にあたるが、彼は恵理佳の存在について言葉を濁した。彼女の周りには奇妙な紗がかかっていた。