【壱】
私がその人に会ったのは、高女の頃牧野の家を訪ねた折の一度きりである。
為におぼろげな記憶しかないけれど、兄の整一さんへ持った印象のようにいかにも洵子さんの妹らしい人だと感じた覚えはある。
洵子さんは、その小さな恵理佳さんを随分と可愛がっている様にも見えた。
学校では見ることのない洵子さんの、いかにも姉らしい様子が意外に映った事も、今更になって思い起こされていた。
●牧野 恵理佳(まきの えりか)[洵子の妹]
史絵のかつての同級生、牧野 洵子(じゅんこ)の妹。
洵子の死と関連して、数年前に行方知れずとなっていた。
それまでにも事故で半身不随の身にあった。