【弐】

「わたくしつい先日存じ上げたのですが……

 妹様の恵理佳さんの事で」

「え……ええ、はい…」

「…数年前に事故に遭われたそうで、大変お気の毒でございます……

 まだどちらかの病院へいらっしゃいますのでしょうか」

「……ええ、その様な……」

 少し、不審に思える位の、歯切れの悪い彼の返答だった。と同時に、また居た堪れなげな面持ちで、整一氏は一時俯いてもいた。

「……恵理佳の事は…」

 僅かに顔を戻して、やがて彼は言葉を選ぶ様にして口を開いた。

「必要とあらば……また日を改めてお話しますので…」

 

●牧野 恵理佳(まきの えりか)[洵子の妹]

史絵のかつての同級生、牧野 洵子(じゅんこ)の妹。

洵子の死と関連して、数年前に行方知れずとなっていた。

それまでにも事故で半身不随の身にあった。